末期癌の祖母。
余命三ヶ月のおばあちゃんは、今、骨と皮だけで、重湯とたまの甘酒だけで生きている。
起き上がれなくなって早四日。糞尿は三日前から垂れ流しで、意識はほとんど、もうろうとしている。
祖母は末期の大腸癌。
六月末に余命を言い渡されてから早四ヵ月。
医者も、よくがんばっていると誉める。だが日に日に状態が悪化する祖母に、よくなることはない。もう十分生きたといえのはわかっているが、ひどくつらい。弱ってゆく過程を見ることしかできず、弟の成人式も見れない祖母は、来年の一月まではがんばると、言っている。
温泉もいくと言っている。だが十一月いっぱいはもたないだろう。
年も越せないだろう。
だれか、たすけて。
助けを求めたところで、無駄だと理解している。
最近の祖母は、何かをしてやるたびに『ありがとう』を言う。
前はあまり言わない人だったのに。
何を食べたいなどを言わない。歩けない。幻覚を見た幻聴を聞いた。トイレに行けない。
つらいとこぼした。
それでも祖母は最後に、生きたいと呟く。
自殺する人。
お願いだから、無駄にする命なら、ばあちゃんにくれてやってくれ。
おねがいだから。