「巧く行ってんの?」
長谷部の友人が、私達の事を、興味深気に聞いた。
「巧く行ってるも、何も、やらしてくんねぇんだもん。一ヶ月前位にさ、ホテルに行ったんだけど、部屋の前まで行って、やっぱ無理だってさ。そんなに、良い奴じゃねぇよ、俺も。」
「マジ?有り得ねぇ・・・。それじゃあ、付き合ってねぇじゃん!」
友人の一人が、驚いた顔をして言った。
「デートする金も、タダじゃ無いしさ・・・。何せ、重いんだよな、何か。」
「今時、中学生でも、もったい振ら無いぜ、その女、何か有んじゃ無いの?」
もう一人の友人が続けた。
「そんな重い女、面倒臭いじゃん。何か有ったら、有ったで、後で、ストーカーとかされそうで、怖く無い?マジで・・・。」
「そうだよな、だからさぁ・・・、良い女居たら、紹介してくれよ、面倒臭いの、マジ、勘弁だから。」
「今日、合コン有るけど行くだろ?歳上のお姉さん達なんだけど?」
「行くよ!当り前だろ?何時?どこで?」
長谷部と友人が、話していた、直ぐ後ろで、全て聞いてしまった―\r
聞きたく無い話も全て―\r
私は、そこまで聞き終えて、気が付くと、逃げる様に走っていた。
「香里!!ちょっと!待ってよ!!ねぇ!!」
長谷部とデートしていた事を知っていた友人の江利香は、私の後を、一生懸命、追い掛けて来てくれた。
男性は、皆、同じ―\r
あの日、私の初めてを奪った男性も長谷部も、皆―\r
その日以来、以前より、偏った考えになってしまった。
誰も居ない、女子トイレの個室に、逃げる様に入り、引き籠った。
その日以来、長谷部とは完全に終わってしまった。
淳に、助けを求めたかった。心の中は、ズタズタだった。
もう・・・。男性を信じられ無くなっていた。