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そんな、ある日の放課後――
掃除当番のあたしを待っていてくれたユカと、いつもの様に一緒に帰る筈だった。
『ユカ待たせてごめんね〜。帰ろっか。』
『別に、待つのはいいよ。お互い様じゃん。それよかさぁ、奈央。聖人とケンカでもしたの?!』
突然聞かれたユカの言葉に、少しだけ動揺してしまったのは何故だろう。
『え〜?!何で?!別にケンカしてる訳じゃないよ。』
『それならいいけどさ。何かあたしと帰る様になってから、聖人、一緒に帰らなくなったじゃん?!』
『あはは。そんなコトないよ。きっと聖人にも聖人の事情があるんだよ。』
聖人は、ユカとまた元の様に仲良くなれたあたしのコトを、喜んで見守ってくれている。
だから、わざとあたしとユカが2人で帰れる様に仕向けてくれているんだよね。
あたしは、そう思っているんだケド、
ちょっと都合良く考え過ぎかなぁ‥‥。
そんな会話をしながら、廊下を並んで歩くあたしとユカの背後から、
突然、とんでもなく大きな声が響き渡った。
『木下さん!!ちょっと来てもらえる?!』
振り返ると、そこにいたのは、3年生の青山サオリだった。