ハーフムーン ?

 2008-11-02投稿
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ミユキは店主を無視して登り続けた。

かなりの急斜面で、草が生い茂っており、なかなか思うようには進まない。

短いスカートで、むき出しになっているミユキの太ももは、気が付くと所々赤く腫れていた。

突然、大きなカミナリが森の中に鳴り響いた。

山の天気は急変する。

ミユキは気力をふりしぼり、先を急いだ。


やがて前方の草むらが途切れて、明るくなっているのが見えた。

ミユキはその場所まで、ヨロヨロになりながらも登り切ると、元の平らな景色が広がった。

わずか5秒間で滑り落ちた所を、50分かけて、ミユキはとうとう戻って来た。


地上はまだ霧が立ち込めていた。

この先、どこへ行けば良いのかも分からない。

すると霧の向こうから、かすかにアスファルトの道らしきものが見えた。

ミユキは草むらをかき分けて、その方角に急いで進む。

――間違いなく道路だ。

久し振りのアスファルトにミユキは下り立った。

すると、そこに1台のタクシーが止まっていた。

タクシーは後部座席のドアを開けたまま、誰かを待っている。

ミユキは目を凝らし、運転席を見つめた。

運転席には、男が座っている。

…そして男は、ミユキの方をゆっくりと振り返った。



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