シーラの時間が20年前から動いていないことがわかるのなら無駄な小細工はせず今までの経緯を素直に話すことにした。
「……それで?」
ミシャルは続きを話すよう促した。
「私たちは、【三種の神器】には呪いの解除以外に、別の能力があると考えています。」
「そこで、伝説に詳しい私を利用する、と?」
「まぁ、要約するとそんな感じだな。」
カチャ、とティーカップを置いた。
「ついてらっしゃい。
協力してあげるわ。」
ミシャルはそう言って突然立ち上がると水と緑の奥に消えた。
四人が追いかけるとある本棚の前でミシャルを見つけた。
「この中よ。」
今まで気が付かなかったがミシャルのエメラルドの髪は腰に届くほど長かった。「この中に、【三種の神器】の時間が記録してあるわ。」
ミシャルは一冊の本を手にとるとそれを開いた。
「そいつは…」
どうやら本はただの容れモノで実際に伝説の記録をしていたのは懐中時計だったようだ。
高級そうな金の懐中時計。蓋には沙羅双樹が描かれている。
「さぁ、それでは行ってらっしゃい。」
カチッという音と共にミシャルの神秘的な微笑みも美しい景色も並んだ本棚も、全てが歪んでいった。