ハーフムーン ?

 2008-11-03投稿
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「お待ちしておりました。どうぞお乗り下さい」
男は言った。

ミユキは戸惑った。しかし、一刻も早くココから抜け出したい。

そう思い、ミユキは黙ってタクシーに乗り込んだ。

そしてタクシーは、ゆっくりと発進した。

「このたびは『株価暴落タクシー』をご用命いただき、誠にありがとうございます」
男はそう言うと、顔を横に向け、後部座席のミユキに何かを手渡した。

「どうぞお使い下さい」
男が手渡したのは、ポケットティッシュだった。

ミユキは、そのポケットティッシュを受け取り、裏返した。

ティッシュには、こんなことが書かれていた。

『ショウはもうここを離れています。――タクシーのご用命は『株価暴落タクシー』まで』

ミユキが、ハッとしてドライバーの顔を見つめると、男は顔の片方だけニヤッと笑い、前へ向き直した。

ミユキは、男に話し掛ける。
「あなたは昨夜、交差点で私にティッシュをくれた人ではないですか?」



「はい、そうですよ」
男はあっさり認めた。

「それが何故、今ここに居るんです?」
ミユキは問い詰める。

「あー『メラミン』のバイトはもう辞めたよ。そして今日から、タクシードライバーになったのさ」
男はそう答えた。

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