バイト先に行くなんて、どれくらい振りなんだろう?そういえば、
バイトやめてから、一回も行ってなかったわ、
とか思いながら。
その時だけ可愛くなった私は、バイト先までバスに揺られていた。
ぼんやり窓の外を見ると懐かしい景色がバスのスピードに合わせて後ろへ流れて行く。
ふと、目に入った、自販機。突然、胸がキュッとなった。
何だ?何?狭心症?
まさかね(笑)
えっ、ちょっと!でも!何でこんなドキドキしだしちゃったの、私!?
もう少しで降りなければならないバス停なのに。
バイト先でウケる(笑)予定なのに。
き、緊張?・・・緊張してんの?まさか。
そんなにデリケートじゃないしっ!
フラッと立ち上がって、 なんとか下車。
履き慣れてないブーツも手伝って。フラフラしてた。
自分を追い越して行く人達に避けられながら、フラフラとバス待ち合いのベンチに座る。
フーッ・・・まだ時間は大丈夫だし。少し落ち着いてから行こう。
うつむき加減で座りながら、ドキドキとフラフラが落ち着くのを待つ事にした。
そうだ、缶コーヒーでも 飲もう。あったかいモノでも飲めば、少しは落ち着くかもしれない。
フラッと立ち上がって、すぐ側にある自販機へと 歩く。
う〜ん、これはやっぱりブーツに慣れてないからかな?なんて思いながらうつむいたまま、フラリフラリ。
「大丈夫ですか?気分悪いんですか?」
背後で、そう声がする。
そして、トントンと、肩を叩かれた。
振り向きざま、
「いえ、大丈夫で・・」
・・・・・。
「す・・・」
振り向いた私の目に、見覚えのある、でも、でも明らかに大人な顔つきの「元彼」がいた。
「ぎっ・・・」
ぎゃぁぁぁあ!!
そうだ、そうだった、そうだよ、来るかもしれなかったんじゃん!!
「え・・・あ、久しぶりだなぁ」と彼が言ったが早いか。
ブーツ履き慣れてない?は?何ですか?それ。
くらいの勢いで、私、バイト先とは逆方向へ猛ダッシュ。
「うわっ!逃げるなよ、オイ、どーすんだよ、反対だろ、オイ!!」
と、声が、後ろでする。
でも、振り返れない、振り返れるハズがない!!
とにかくダッシュ。
暴走列車再び。
どれくらい走っただろうか。来たことのない公園に行き当たった。