ぐるぐると回るような感覚の後ようやく周りの世界が見えてきた。
どうやらどこかの洞窟のようだ。
薄暗く、じめじめとした圧迫された空間。
「なんだ…?この洞窟は」
「進んでみれば分かるだろ」点々とした松明を辿って着いたのは、水溜まりサイズの池が三つ三角形にある少し開けた空間だった。
「なんだ?この水溜まり」
ランスォールが覗いて見ると水溜まりに剣が浮かんでいた。
「剣…?」
「見て下さい!こっちには盾が!」
雪の指差す水溜まりにはイツキに奪われた盾が浮いている。
「あっ…!」
水溜まりに雫が落ちたように波紋が広がる。
するとランスォールの見ていた水溜まりには宝玉が浮かんでいた。
「なんだ?一体何が…」
しばらく黙って水溜まりを見つめていたシーラがハッとしたように顔を上げた。「まさか…」
言いかけた時だった。
また辺りが歪み始めたのだ。
さっきと同じ、ぐるぐると回る感覚。
そして見えてきたのは時計塔の、ミシャルのいる水と緑の部屋。
微笑んだままのミシャルは懐中時計を閉じながら言った。
「見たかしら?儀式の場を」