「お前の見間違いだろ。何もいないよ。」
部屋を調べ終って、男友達が玄関のドアから顔を出した。
「でも…見たの。変な奴が踊ってたんだから。」
「…。お前疲れてんだよ。」
少し呆れた顔で彼女を手招きする。
「見てみろよ。」
恐る恐る部屋の中を覗く。
明かりの付けられた部屋は、いつもと変りなく殺風景だ。
「何か変わりあるか?」
何も変わりなかった。
何一つ変わりない。
「やっぱり私の見間違いかも」
「だろっ?少し休んだ方がいいよ。」
確かに最近、疲れていた。
思う様に営業成績が伸びず、ここの所働き詰めていた。
疲れ過ぎて幻覚でも見たのだろうか…。
友達を見送り、彼女はベットに倒れこんだ。
「はぁ〜。頑張り過ぎちゃったのかな…。」
………ショ-カ………イ…ダ…ョ………オッ………チガウ……ツレテケ…
気が付くと、夜中の3時過ぎだった。どうやら寝てしまっていたらしい。
真っ暗な部屋。
ん?
明かりを消した覚えがない。
………ョ-カ………チガウ……………ツレテケ…ツレテケヨ………ア……
心臓が止まりそうになった。
誰かいる。
部屋の中に誰かがいる。
気づかれない様に、息を潜め暗闇に目を凝らす。
何も見えない。
何も…………………!!!!!!
…………ショーカ………ダ…ョ……ツレテケ……ツレテ……クオ…………………………イヒヒヒヒヒ……