「ンッ…。来る来る………来る。隙間がッ隙間が…………。」
「山崎さん、山崎さん。何が来るんですか?何が見えますか?」
「あ゛〜んっん゛、くっくる。」
「何ですか?山崎さん。」
「……………………」
「ぎゃあぁぁぁあぁぁぁ〜」
血走らせた目を見開き、山崎薫は叫んだ。手足をピンと伸したまま硬直し、痙攣している。
「おいっ。治療は中断だ。早く運べ!!!」
その場は騒然となった。
医師やナース達がバタバタと動き回る。
「先生、心拍数呼吸数共に低下しています。」
「何でだ?何が見えたって言うんだ…。」
「先生!!心拍停止です。」
「何でだ!!」
悲しく電子音が響き渡る。
白目を剥いたまま、彼女はピクリとも動かなくなった。