『着いたわよ。』
連れて来られた場所は、図書室だった。
『あ‥の‥‥此処って?!図書室ですけど‥‥‥。』
不安な気持ちを抑えながら、おそるおそる尋ねた。
『しっっ!!静かにしてっっ。ほら‥‥此処から見てみな。』
青山さんは、あたしを図書室の本棚の陰に引き寄せた。
『あ‥‥‥。』
言われるがままに、本棚の陰から前方を見ると、
視線の先に見えたのは、あまりにも信じがたい光景だった。
そこには聖人が立っていて、向かい合っている女のコが1人。
たぶん、女のコは2年生の中では見たコトがない顔だから、3年生だ。
でも‥‥何で聖人が此処に?!
そして‥‥向かい合ってる女のコって?!
何?!一体何なのこの状況は?!
すると、突然その女のコは、聖人に抱き付いたんだ。
思わず目を疑った。
な‥‥信じられな‥‥‥‥。
聖人は、そのコに抱き付かれたまま振り払おうともしない。
な‥‥何でっっ‥‥‥‥‥。
あたしは、信じたくない目の前の光景に、ショックでその場に立ち尽くしていた。
『‥‥こっち来なっっ。』
あたしは、青山さんに強引に手を引かれ、図書室から廊下へ連れ出され、
そして、そのまま校外へ出た。
『今の見たよね?!木下さん?!』
『‥‥‥‥‥。』
何も‥‥言えなかった‥‥‥。
頭の中がパニックになってて‥‥‥
言葉が何も‥‥出て来なかった‥‥‥。
『北岡先輩はモテるのよ。先輩のコト好きだって人は、当然いっぱいいるのよ。
あんたも今、見たでしょ?!あれは告白よ。愛のコ・ク・ハ・ク!!』
『‥‥‥‥‥。』
く‥悔しい‥‥‥。
何も言い返せない‥‥‥‥。