私の中はハイドでいっぱいだった。朝起きて寝るまでハイドのことを考えていた。
それは戦争が始まった今でも変わらない…これからもずっと…
「明日我が隊も出撃する。準備をしておけ。」
隊長が凛々しい顔でそう言った。凄く重い空気が隊全体に広がった。
ケインの方を見ると目の下に涙の跡があった。
「ケインどうしたの?」
「なにが…?」
「泣いてたの…?」
「アカネには関係ない…」
それからケインは俯き話しを聞いてくれなかった。
もの凄く不安になった。
その夜ハイドに会いに行った。
「明日出撃するんだ…」
「そっか…」
「怖いよ…」
「アカネのために何もできなくてごめん…」
「いいよ」
ハイドの顔は凄く辛そうだった。
「なら何かお守りになるものくれない?」
「なら…このネックレスは?」
ハイドは今自分がしているネックレスをくれた。
「ありがとう。大切にするね。」
私の顔を見てハイドの顔も落ち着いた。
「なら私そろそろ帰るね…明日の準備あるから…」
「わかった…またな」
気持ちが沈んでいくのがわかった。
〜帰りたくない…〜
泣きそうになっているのが自分でもわかる。
「またね…」
ハイドに今の顔は見られたくなかったから、すぐ後ろを向いて扉を開けようとした。
「アカネ!」
急に呼ばれて振り向くと唇に暖かい温もりを感じた。泣いてしまった。
「明日生き延びろよ」
「うん!」
自分の中で最高の笑顔で返した。