まだ残暑が残る9月の初め、宇宙から一人の男の子が舞い降りた。
私たちにとって始めての子供の誕生だった。
嬉しくて、かわいくて、今まで生きてきた中で最高の日だった。
会社経営者という激務の中、唯一この子に会いたい一心で仕事を早く切り上げた。
3歳になった頃だろうか、祖母が「この子は言葉が遅い。意思の疎通がない。」と百戦錬磨の言葉だった。その時は気にも止めなかった。しかし確実に悪夢が現実になろうとしていた。
その頃から、経営が行き詰まり、嫁にも仕事をしてもらう様になり、必然的に子供を保育園に預けるようになった。
そんな時、ある事件が起こる。何か自分の思い通りに事が運ばす、保育園の外でひっくり返って、後頭部を強打した。あまりの事に急いで病院へ。
そこには、脳震盪を起こし床一面に嘔吐する我が息子の姿があった。
念のため精密検査をしたが、異常はなくほっとした。が、医師から意外な言葉が。「もしかしたら、ご子息は知的障害を持っている可能性があります。一度調べてみる必要があります。」と。
言葉の遅れ、強いこだわりなど、自閉症に多く起こる事だと。
わが耳を疑った。以前話をしていた母の言葉を思い出した。