長谷部と別れて一年が経った。それ以来、彼氏を作る気にも、ならなかった。
以前より、酷い男性恐怖症に悩まされていた。大学の友人達が、私に気を遣って、出逢いの場を設けてくれたりしていたが、適当な理由を付けては、また断っていた。
淳は、今春、服飾専門学校を卒業し、先輩が、数年前にオープンさせた表参道のショップで働く事に決まった。
そんな時―\r
久し振りに、淳と青山に飲みに出掛ける事になった。
「久し振りだね・・・。」
「元気だったか〜?今年、香里も、今年、就職活動だよな?」
「うん・・・。まだ何もしたい事も決まらないし、どうしよう?って感じなんだけどね。」
「で・・・、彼氏は?出来たのかよ?」
淳からの意外な言葉だった。私の男性関係なんて、気にならないのだと思っていた。
「・・・、彼氏?居ないよ、そんな人。」
「そっか・・・、早くいい奴見付けろよ〜。お前には幸せになって欲しいからさ。」
淳は、私の顔を見ずに、遠くを見つめながら言った。何故か、悲しい気持ちになった。
「あっちゃんは、今、幸せなんでしょ?私の事なんて気にしないで、幸せになってよ。」
「彼女と別れたんだ・・・。」
淳は、高校の卒業式間近に付き合った彼女と、最近別れていた。この時、初めて知ったのだった。
「あっちゃんなら、直ぐ新しい彼女出来るよ。」
「あのな・・・、そんな簡単じゃねぇよ?香里・・・、俺と寄り戻すか?」
淳は、私をからかう様に言った。冗談で言う様な様子には、思え無かった。その言葉に、直ぐに応えられ無い私が居た―\r