「たとえどんな奴だろうと、俺は人を殺してしまった・・・苦しむあいつの顔・・・・・俺は、俺は・・・・・」
必死で涙をこらえ、声は虫けらのように縮まっていた。いつもは見せない、ウィルの悲しい姿。
「ウィルさん。自分を責めないでください。彼を止めるには、そうするしかなかったんでしょう?」
「ちがう!ちがうんだ!」突然、罵声をあげる。
「もう、病院がとっくに手遅れだってことは、わかってたんだ。あいつを殺したってなんにもならないってわかってたんだ。」
ウィルの息が荒くなる。
フィオナはなにか言うわけではなかったが、なぐさめるように、ウィルの背中を優しくさすってあげた。
少しずつだが、ウィルは冷静を取り戻してくる。
「・・・すんません、なんか勝手に・・・・どなってしまって・・・アホですね俺、はは。」
「いいんですよ。気にしないでください。・・・・・・・つらかったですね。ずっと、その気持ちを抑えてたんですね。」
「気持ちどころか、こういう事実すら誰にも話してないから・・・すっきりした!ありがとうございます。」
ウィルは今できる精一杯の笑顔を作った。