『奈央っっ!!何とか言ってよ!!何されたのよ!!青山に!!
本当にもう!!聖人は電話に出ないし、奈央は、黙りこくるしっっ。
もう‥‥一体何があったってのよ!!』
ユカは涙目になりながら、あたしにそう言った。
そして――
ユカの目から、キラッと光るものが見えたトキ、
あたしは、自分の浅はかさに、酷く腹が立った。
あたしって、どこまで性格がひねくれているんだろう。
どこまで、人を疑えば気が済むんだろう。
ユカとは――
また、仲がよかった頃のあたし達に戻れた筈なのに――
あたしの為に――
涙まで流してくれて――
ごめんねユカ――
ごめんねっっ――
『ユカ。ありがとう。あたしのコト、そこまで心配してくれて。
あのね‥‥別に青山さんに何かされた訳じゃないケド、忠告されちゃった。』
『忠告?!』
『うん。聖人から手を引けって。
さもないと痛い目に合うよって。
それと‥‥‥。』
『それと‥‥?!』
『うん。図書室に連れて行かれて、聖人と3年の女子が抱き合ってるのを見せられちゃった。』
『えぇっっ?!何よそれ。マジで?』
ユカは、あたしの話にビックリしてたケド――
『奈央。それってさ、よく考えたらおかしくない?!
だって、青山のヤツ、聖人と3年の女子が図書室にいるのを知ってたってコトになるじゃん。』
『あっ‥‥‥。』
ユカに、言われるまで、気付かなかった。
あたし、聖人が女の子と抱き合ってるってコトだけに、とらわれてて、
そこまで深く考えていなかったから。