『頭きたっっ!!
奈央。あたし聖人に言ってやるよ!!
奈央と付き合っていながら何考えてんだって!!』
ユカの気持ちは嬉しかった。
けれどあたしとしては、聖人を信じたかった。
信じたいからこそ、きっと何か事情があるんだって思いたかった。
『ユカ‥‥。あたしの心の中では、聖人を信じたいって気持ちがあって‥‥。
だから、聖人があたしに直接話してくれるまで、黙っててほしいんだ。』
『奈央‥‥‥。』
ユカは、あたしの言葉に少し不満そうな顔をしていたケド――
『‥‥うん。分かったよ。奈央がそう言うなら‥‥。
あたし、今回は黙ってる。
でも‥‥今回だけだからねっっ!!
今度もし、奈央がまた青山に呼び出されたり、
聖人が他の女とイチャついてんのを見掛けたらあたし――』
『ユカ‥‥‥。』
『あたし、聖人と青山んとこ殴り込みに行くからねっっ!!』
少し冗談交じりに言ったユカだケド、
そう言ってくれたトキの目は、
真剣な目をしてた。
『ユカ‥‥ありがと‥‥‥。』
嬉しくて、
また涙が出た。
そして、
一瞬でもユカのコトを疑った自分が情けないと思った。
ごめんね‥‥ユカ。
ごめんね。
『だってさぁ――』
『うん。』
『だって、奈央が幸せになってくれないと‥‥‥‥‥
奈央が聖人とうまくいってくんないとさ―――』
『うん。』
『あたしが、奈央にしてきたコトの罪を償う為に、出来るコトは、
奈央が聖人と幸せを掴める様に協力するコトだと思ってるからさっっ。』
ユカは、少し涙ぐみなからそう言ってくれた。