ハーフムーン ?

 2008-11-08投稿
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どれくらい時間が経ったのだろう。

ミユキは知らない間に疲れて横になり、眠ってしまっていた。

気が付くと、バスはすでに止まっている。

ミユキは起き上がり、外を眺めた。


――海だ。


そこは、港の船着き場らしき場所だった。

空は雨も上がり、やがて明け方になろうとしていた。

ミユキは立ち上がってバスを降りようとした。

運転席には、バスの運転手が静かに座っていた。

ミユキが話し掛ける。
「ありがとうございました。こちらで降ります」

その声を聞き、運転手は初めてミユキに向かって、振り返った。

――あら?

声の印象とは裏腹に、運転手は非常に体格の大きな、太った男だった。

表情は、サングラスをかけていて良く分からない。

――どこかで会ったような?

何となくミユキはそう思った。


ミユキが料金を支払い、バスを降りようとすると、運転手はサングラスを外しながら笑って言った。

「あまり無茶しないようにね」

そして運転手がサングラスを完全に外した瞬間、ミユキの脳裏に昨夜のホテルでの情景が、突然フラッシュバックした。

ミユキが忘れてしまっていた、ホテルでのアノ忌まわしい出来事が、男の素顔を見たことで一気に噴出したのだ。

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