路上で歌っていた
たけるを
私は一生懸命応援していた
あの人に
私は好きだと言った。
『僕といると
君はツラくなるから』
その意味を
知る事になった。
彼の母親から
送られてきた、
手紙と歌詞。
ありがとね。
『あなたへ』
作詞/前川健
春の空 風邪はまだ
少し冷たくて
君は 遠いけど温かい
桜色のほっぺが
僕の胸を動かせた
まだ君といたいよ
桜が散るのは早すぎて
「好き」の一言が
言いたかったから
君の瞳にうつる自分を
見て勇気がなかった
空を見て
泣いてるの?
僕のせいだね
雨が君の心を
温めてくれるだろう
僕もそばにいるよ
いつだって君を
見守っているんだよ
かっこ悪くてごめんね
こんなことしか
言えなくて
歌よ空に響け
桜が散ってしまって
君は前を向くんだ
また春が来るだろう
きっとまた咲くだろう
明日になれば
ここで途切れていた。
彼は癌だった。
彼は自分が長くない事
知っていたから
私に歌を書いた
と彼の母は言っていた
私は何も知らずに。
ごめんね。
ありがとう。
私は2年遅れて
彼のお墓に行った。
泣かないよ。
ちゃんと幸せになるよ。
嫉妬しないでね。
ありがとう。
ありがとう。