摩天楼は消えた。 赤い空が広がるだけ。 何事もなかったかのように今日は終わるのだ。 ライトが彩る。崩されたはずの摩天楼は光を纏う。 街は静かになった。 暗い影があるだけ。 土埃にまみれた廃車置き場にピアノがひとつ。 鍵盤はいくつか欠落している。 彼女はピアノを背にして座りこんでいた。 眠っているのか死んでいるのか。 ただ手の中にはローズピンクの宝石が、黄昏に輝いている。 街は静かに消えていった。
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