最低な気持ち?

龍王  2006-06-17投稿
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『…そっか。…鞠花ちゃん…もう蓮華を愛してない…?』
『はい…。私は今ようやく気付きました。椿を心から愛しています。…菫さん…兄をよろしくお願いします』
『鞠花ちゃんも…頑張って…』

菫は目を伏せ、悲笑しながらそう言うと、一礼して鞠花の前から立ち去った。

鞠花は、菫を見送ると椿の元へと戻る。
安静にしている椿の部屋のドアの前で、鞠花は呼吸を整え、高鳴る鼓動を押さえようとしていた。
椿を好きだと自覚してから落ち着きを無くし、挙動不振気味。
部屋に入る。

「Σ!!」

中に入ると、椿が背を向け、バルコニーに立っていた。
鞠花が駆け寄る。

「椿!安静にしてるよう言われたでしょ!点滴も外して…何し…」「…」

椿が振り返ると、鞠花を抱き締めた。
突如抱き締められた鞠花は、顔が真っ赤になる。

「椿///」
「………と…?」
「えっ?」

椿の声は弱々しく、手足は女より痩せ細っていた。
それでも椿は鞠花を強く抱き締めている。

「さっきの…話…俺を好きだって本当か…?」
「Σ!あっ…え///」

鞠花は今まで見せた事無い程、動揺し顔を赤らめ、緊張で涙目になっている。

「つ・椿///お願いちょっと放して///」
「……」

椿が、鞠花の両肩に手を置き、少し距離をとると互いの顔がよく見える体制になった。

「鞠…」
「……愛してる」
「──ッ」

鞠花が、椿の頬に触れると幸せそうに微笑む。

「椿…私はあなたを愛してる。…愛し…Σ!///」

椿は、鞠花の手を引くと、強引にベットに押し倒し、上に乗っかった。

「椿///」
「俺も…ずっと好きだった」
「──……うん。…ありがとう…椿」

鞠花は、椿の背に手を回すと目を閉じた。

鞠花は、初めて愛し合う暖かい気持ちを感じた。

「──ッ…ゴホッ…ッカハッ…」

突然椿が苦しそうに咳き込む。
鞠花が目を開けた。

「椿…?」

ボタボタボタ。

「Σ椿!!」
「ッ」

口から血が溢れ、椿は吐血した。
真っ赤な血は鮮烈で鞠花の心を凍てつかせた。

「椿!!椿…今…お医者様を呼ぶから!!お願い!…お願い…死なないで…」

鞠花は椿の手を握り、椿の名を泣きながら叫び続けた…




死なないで…椿



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