【星の数ほど男はいるのよ..諦めなさい】
これがこの女の捨て台詞だった。
【サオリ】
赤ん坊のころ親に捨てられ、母親の顔など覚えているはずもなく。
抱かれた温もりも記憶に無い。
まぁ子供を捨てるぐらいの親だから、
抱いてもくれなかっただろう..
家族の絆?って..なんなんだろう?
いつも強がっていた。
身寄りの無い私を誰も助けてなんかくれない.
寂しさは胸の奥にしまい込んで、
誰も開けられない鍵を掛けた。
張り裂けそうな想いをいつも独りで消してきた。
【ホスト】
16才..カレシができた。オンナもくれてやった、遊びのはずだった。
ままごとのような同棲生活がはじまった。
カレは、こんなあたしでも一途に愛してくれた。
抱かれるたびに、
しまっておいた感情の《永久凍土》が溶けだしていった。
【水商売】
ホストをしていたカレが姿を消した。
キャバ嬢して貯めたお金が無くなっていた。
指輪も無くなっていた。
昔捨てられていた時に、
傍らに置かれていた指輪である。
形見にしていた。
慌てていたのか男は携帯を忘れていった。
携帯が鳴る。
無言で出る。
若い女の声「シンジ?.なによあの指輪..
売ってもいくらにもなんなかったんですけどぉ〜.
ねぇ!今から会えない?いつものとこで待ってるからさぁ」
「あんただれ?」
携帯にでた。
若い女 「?!..」
女を呼び出した。
【破裂した】
【感情】
いままで感じたことが無い生まれてはじめての衝動に駆られている。
何かに操られているかのように..
サオリの足元には胸から血を流して倒れている若い女。
血で真っ赤に染まったナイフ握りしめているサオリ。
【太陽】
《いるわけない..あたしの氷を溶かせる男は一人だけ...
それはあたしが決めること...太陽のような》