ハーフムーン ?

 2008-11-11投稿
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――ミユキは、そこまで思い返すと、崩れ落ちるようにバスのステップから降りた。

そしてバスのドアが閉まり、ディーゼル音を響かせて、男とバスは消えていった。

ミユキはその後も、しばらく立ち直れず、四つん這いにひざまずいていた。




ひざまずいていた。




――その時、一羽のカモメが翔んだ。


カモメが翔んだ先には、海に面した白い建物があった。

ミユキはただ呆然としながら、カモメに導かれるように、その白い建物に向かって歩き出した。

白い建物に近付いてみると、そこはどうやら露天風呂らしかった。

ミユキは、入口をそっと覗いた。

受付には誰もいなかった。

だが、入口の脇を見ると、入浴料の券売機が置いてある。

ミユキは、券売機でチケットを買うと、誰もいない受付にチケットを置いて、浴場へと向かった。


浴場は混浴だった。

ミユキは一瞬、躊躇したが、中を見ると誰もいなかった。

服を脱ぎ、ミユキはそっと露天風呂に入った。



露天風呂からの眺めは壮大だった。

青い海、そして青い空が一望出来た。

まぶしい太陽の光と、爽やかに吹き抜ける風も、心地良かった。

ミユキは、心と身体がみるみる癒されていくのを、感じていた。



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