奈央と出会えたから。<273>

麻呂  2008-11-12投稿
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『め‥眼鏡‥‥眼鏡‥‥‥。』



眼鏡をかけ、慌てて部屋の窓から外を覗くと、



聖人が家の前に立っている。



なんか、寒そう。



あれ?!もしかしてケガしてる?!



まだ4月上旬の北海道の夜って、結構寒い。



過去に、4月に入ってから雪が降ったコトもあるくらいだから。



『ま、聖人待ってて。今直ぐ行くからっっ!!』



ふと時計を見ると、10時を回ったところだった。



慌ててルームウェアに着替えたあたしが、



階段をかけ下り、玄関を飛び出すと、



目の前には、少し気だるそうに立ち、



携帯を耳に当てながら、煙草に火をつける聖人の姿があった。



『‥‥‥よっ!!』


目が合うと、あたしに向かって軽く手を挙げた聖人。



『よっ‥じゃないわよっっ!!

聖人どうしたの‥‥そのケガは?!』



聖人は、ケガをしていた。



目の悪いあたしでも、それは窓から覗いたトキに気付いた。


目の上は、切れていて、血が出ている。


『何でもねぇよ。大したコトねぇよ‥‥こんなの‥‥‥。』


そう言って、煙草の煙を吐く口元からも、切って出血した跡が。



『何でも無いワケないじゃん!!

早く上がって!!

手当てしないと!!』



あたしは、ケガの手当てをする為、聖人に家の中に入ってもらった。





シュ―――――ッ―ー‐



消毒液を脱脂綿に付け、



それで、



目の上と、口元を優しく拭いた。



『痛てっっ‥‥‥しみるって。』



『我慢して。消毒しないと、ばい菌が入っちゃうよ。』



切り傷用の軟膏を塗ったガーゼを当て、


絆創膏を貼った。



『聖人。どうしたの‥‥この傷。

ケン‥カ?!』



あたしが心配してそう聞くと、



聖人は、少し考え込んだ表情で、黙り込んでしまったかと思いきや、



『奈央が眼鏡かけてんの初めて見た。

眼鏡かけた顔も‥‥めんこいな?!』



あたしの質問をはぐらかす様にそう言った。

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