奈央と出会えたから。<274>

麻呂  2008-11-12投稿
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『家ではコンタクト外すから。

いつも眼鏡だよ。

それより質問の答えがなってないよ。

そのキズはどうしたのって聞いてるのに。』



『‥‥‥‥‥。』



『どうして黙ってるのよ?!何があったのよ‥‥聖人‥‥。』



あたしがした質問の答えを聞く前に、



あたしは、聖人に質問された。



『奈央‥‥オマエ本当に今日、何も無かったのか?!』



『さっき何もないって言ったじゃない。
それよりあたしの質問に先に答えてよ。』



あたしがそう言い終わるか、言い終わらないかのうちに、



聖人は、あたしの言葉をさえぎる様に、こう言ったんだ。



『今日は本当に何も無かったのか?!

本当に?!』



ビクンッ――



聖人の声は、ほとんど怒鳴り声に近くて、



あたしは一瞬、ビクッとしてしまった。


聖人の真剣な眼差しは、しっかりとあたしの瞳に映し出されている。



その切れ長のするどい目つきは、



あたしに向けられるトキだけは、



いつも優しい穏やかな目になるのに――


いつもと違う、そのするどい目つきに――



あたしは、既に聖人に嘘を見透かされているんだって悟った。



『‥‥呼び出された。』



呟いたあたしの言葉で、聖人の目つきは更に鋭さを増した。


『‥‥‥やっぱりな。3年の青山だろ?!青山サオリ。』



『‥‥‥うん。』



『あの野郎。さっきすれ違ったトキ、なんか様子がおかしいと思ったら‥‥‥。
奈央っっ。何された?!

青山に何されたんだ?!』



聖人は、両手であたしの顔を挟み込み、


真剣な目をして、顔を近付けて来た。



至近距離で見つめられたら、



もう、隠し通せなかった。





『忠告されたの。

聖人から手を引けって。

そして、図書室で聖人が3年の女のコと抱き合ってるのを見せられたんだ。』



あたしの話を聞いた聖人は、



納得した様にコクリと頷いた。



そして、ゆっくりと優しくあたしにこう言ったんだ。



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