「冗談で、そんな事言わないでよ!」
涙が溢れそうになった。卒業式の数日前のあの日、淳は、私の事を親友だ・・・。と言った―\r
私の事を忘れたいから、新しい彼女と付き合う事にした・・・。と言った―\r
淳に、軽蔑され、諦めが付いた筈だった。でも・・・、違った。今でも、やっぱり淳の事を忘れられ無かった―\r
でも・・・―\r
「冗談で、こんな事お前に言わねぇよ。俺、マジだよ?」
「もう・・・、あの頃には戻れないよ・・・。」
私は、呟く様に言った。
「何で?俺は、今でもずっと香里の事・・・。」
「親友で居ようって言ったの、淳じゃない?それに、彼女とも終わったばっかじゃ無い・・・。次が居ないから、私って事でしょ?」
強がりだった―\r
女の無駄なプライドと強がりが交差していた。淳と戻る勇気は、未だこの時は無かった。淳には、もう嘘は付きたく無かった。戻る時が有るとすれば、あの日の事、長谷部との事・・・。全部を話して、清算してから、淳の胸に飛び込みたかった。
「そう・・・、だよな。香里の事、諦めるって言ったくせに、女々しいよな、俺・・・。忘れてくれ、今のは。」
淳のその言葉を聞き、身体の奥底から、溢れ出る何かを抑えるのに、私は、必死だった―\r
本当は、淳の事が好きで好きで仕方が無い筈なのに―\r
手の届く所に淳が居るのに・・・。辛かった。そんな時も、いつも、怨んでも怨み切れ無い、あの日の事が、鮮明に頭を余切るのだった―\r