塵芥のマリア

シンシア  2008-11-12投稿
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塵芥の街

そこは且てはある企業が中心となって新興開発された「街」だった。
街は人であふれて賑やかだった。
季節毎のイベントも多く催された。
しかし、企業の経営が破綻してしまい、そこで働いていた者達は街を去っていった。
賑やかだったショッピングセンターなどの施設も閉鎖された。
大病院や学校も無くなって行った。
自治体も負債を立て替えていたが、とうとう限界となった。
街は破綻した。自治体も街を見放したのだ。
街はどこの自治体にも存在しない物となった。
やがて、あちこちから不法投棄されるようになった。街はゴミだらけになっていった。
且ては綺麗だった街は段々と汚くなっていき、建物も崩れて見る影も無くなっていた。
更にならず者、ホームレス、家出人などが集まってきた。
警察などの法治もないそこは犯罪の温床となっていった。
先程、認知症の母親を捨てた男がアクセスした地図はまさにそこが街だった頃書かれていた物が流出したものだった。
おそらく廃墟マニアが載せたものだろう。
人棄て場というのもその人が勝手に付けた物かもしれない。
だが、社会的に弱い者が家族によって棄てられていくことも増えた。
赤ん坊の産み捨て、介護しきれなくなった病人、引きこもりになった子供達…彼等にはもはや家族としての情は無くなっていた。
乳幼児は街にいる臓器業者からとくに狙われた。
内臓を抜かれた死体が街にごろごろとしていた。

息子に棄てられた老婆はもう、立つことが出来ずにいた。体の右側を下にして横たわっていた。
徘徊する力はもはや無くなっていた。
視線はずっと息子の車が去って行った先をずっと見ていた。



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