「…怒らないの?何でそんな事したんだ!って…」
「あんたが殺したなんて、まともな思考してる人だったら誰でも信じないわよ」ロイの驚いたような表情を見て、ミリスは少し表情を和らげながら、彼の側に寄って行った。
「話して、ロイ。あんたのその悲しみを、受け止めてあげる。…だって、私も、アゼルを亡くしているから…」
ミリスはそう言って柔らかな表情を浮かべながら、ロイの頭に手を置いて、優しく撫で擦った。
「姉ちゃん…」
ロイは照れたような表情でしばらくの間うつ向いていたが、やがて、顔を上げて、
「丁度僕が八歳の時だったかな…あの頃は、五歳になるリアと毎日遊んでたよ。リアは素直で、笑顔が素敵な女の子だった…」
と、遠くを見つめるような目をしながら、言った。
「そうね…リアちゃんはとてもいい子だったわ…」
「うん…。だから、お兄ちゃんとしていいところを見せたいっていう思いがあって、ソードメーカーとしての訓練も、毎日欠かさずやってたんだよ。父さんと一緒に」
「そうだったの…」
ミリスは優しい表情で、頷いた。
「そのうちに、遂に僕は火の魔法を使えるようになって、大喜びしたんだ。これでリアに自慢出来るって…でも、それが…」