一生懸命だったと言うシェリー。
人形騒動がキッカケで、マルスはルークに対して娘との交際を断っていた。
娘が人形に襲われた経緯を知って、やむなく決断したのである。
キャサリンが精神的ショックを受けてしまった事に、責任を感じていたルーク…
マルスの要求を呑み、キャサリンとの別れを覚悟した。
人形騒動が一段落した時…
ルークとキャサリンの強い絆を目の当たりにしているシェリー…
「2人の交際を続けさせて欲しい」
こう、嘆願した。
マルスは説明する。
「別にルークを嫌ったり、憎んだりしているんじゃない」
「では何故?」
「事件の事を忘れさせる為だよ。そうする事で、静かに療養出来るしね」
「なるほど」
「私だって、辛いよ。
2人の仲を断つんだからね。分かるだろう?」
「お気持ちは十分わかります。
でも…」
シェリーは2人の状況を説明し、理解を求めた。
最初はシェリーの要求を強く拒んでいたマルス…
相手の熱意に感化されて思いを変えた。
「分かった。2人の交際を続けさせよう」
「ありがとう」
笑顔のシェリー。
「但し、条件がある」
「条件?」
「病院へ見舞いに来ても構わないけど、娘に接見する事だけは控えて欲しいって、彼に伝えてくれないかな?」
「直接、触れ合う事は、出来ないんですか?」
「彼氏の顔を見たら、娘は絶対…あの悪夢を思い出してしまうハズだ。
そうなれば、病はいつまでたっても治りやしない」
「…」
「ルークは素直だそうだし…、きっと分かってくれると思うけどね」
「ルークに話してみます」
────────
「なるほどね」
シェリーからの話しにルークは已むなく、マルスの条件を受け入れる事を決めた。
キャサリンと直接、触れないのはルークにとっては残念な事。
でもこうして…
モニターの映像越しだけど…
キャサリンの顔を見る事が出来るだけでも、ありがたい事だ。
が…
映像の中のキャサリンの姿に、ルークの表情は暗かった。
異常に痩せ細った体…
老婆のように、やつれた表情…
まるで…
別人のようになってしまったキャサリン。