夢工房―3α

おぼろづき  2008-11-13投稿
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ずっと長い時間、あたしはこの長い廊下を歩いている。廊下というよりも、廻廊と表現したほうがいいのかな。等間隔に屋内なのに文明開化に建てられたガス灯がたっているの。ただ、さっき廻廊と言ったけれど、本当にそうなのかは、あたしにもわからない。
なぜなら、灯がそのガス灯のようなものしかなくて周りがまったく見えないんだもの。
いつからこの場所を歩いているのか自分でもわからないの。最初はずっと何かから逃げるように走ってた。
時々何かがあたしの名前を呼んでる気がして。その時に後ろを振り返っても、周りを見回しても誰もいなくて、あるのはガス灯だけで。なんか恐くなってずっと走って逃げてた。
でも、どんなに走って逃げても声の距離が近くにくる感じもないし、なにより最初はビックリしたけどね、声が優しく聞こえてくるの。だから、逃げるの止めてその声を聞きながら今はゆっくりと歩いてるの。

まあ、走り疲れたというのも本音であるけどね。

…だけど。いつになったらこの「みち」は終点に着くのかな。いい加減歩くの疲れてきたんだけど…。

あたしは歩くの止めてガス灯の下に腰をおろした。もう足がパンパンだよ。

そしてあたしはここにきて初めて、ゆっくりと周りを見回してみたの。そうしたら目の前に扉があって。

…なんか、怪しいから、素通りして先に急ごうかな…?

でも、気になるなあ。いきなり登場したこの扉…。今までずっと歩いて来た途中にも幾つもあったのかな…。

あたしは自分でも気付かないうちにその不思議な扉のまえにたっていて、導かれる様にその中に入っていったの……。





…わたくし達は椅子に腰掛けながらいつものようにコーヒーを飲み、いつものように窓から差し込む『ひかり』を見ながらゆっくりと『とき』が歩いていくのをかんじていました。が、彼が突然歩みをとめたのです。
その時、右手にある扉が開く音が聞こえたのです。来客のようですね。
わたくしは音がした方に振り向いて、いつものように一言。


「コーヒーは、いかがかな」

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