そのころウィルは、フィオナが走り去った方向に行き、彼女を探していた。ウィルはなにがなんだかわからなかったが、あの様子じゃ、来るなと言われても、ほっとけるはずがない。
「フィオナさあん!」
ウィルがそう言った時だった。
ガラガラッガシャンッ
建造物と建造物の間から、さびれたゴミ入れが中身を吐き散らしながら倒れた。
ウィルは目を細める。
そこに立っていたのは、フィオナだった。
「よかった!突然走りだすからびっくりしたぁ!どうしたんだよ、フィオナさん?」
フィオナはうつむき加減で、力の無い声を出して言った。
「なんで、・・・・来たんですか。」
かすかに、震えていた。
「来るなって、言われたら、余計心配するでしょ?」ウィルは軽く笑いながら言った。
「フィオナさん!!!」
さらにウィルの左方向からやってきたのは、ある少女。
マリア。
「フィオナさん!あのね、あたし、フィオナさんが邪魔になるなんて、全然思ってないから!」
フィオナはマリアを見てぎょっとした。
「だめ、だめ、なんで来たのよ・・・・」