〜アカネが俺に会ったら死ぬ…〜
信じられなかった。信じたくなかった。
「なんで…だよ?」
ケインは月を見上げながら答えた。
「アカネは自分の魔法をコントロールできていない…魔法は感情と比例して高くなる。
だから今お前が会いに行くと、どうなるかわかるな」
「そんな…俺はどうしたら…いいんだ」
「アカネに会わなければいい…アカネは俺に任せろ。」
ハイドは大声で泣いた。
自分の不甲斐なさに自分が支えになれないことに自分がもうアカネに会えないことに泣いた…泣き続けた。
ケインも心が痛かった。
仕方ないとはいえ、こんな方法でアカネを手に入れたことに。
冷たい風が二人を包む。そこだけ時間が止まっているかのように風はずっと二人のそばにいた。
ケインはいつの間にかいなくなっていた。
ケインはアカネのそばにいた。もちろん熱で火傷をしない距離を保っている。
アカネはあの日以来ここを動いていない。
国が出したアカネの情報は自分の国を守るためのデマだった。
アカネはあれ以来人を殺してはいない。
メイヤが見たアカネは本物だが人は殺してはいない、国がアカネの情報を信じられる物にするため仕組んだものだ。
風が吹き荒れた…風はまっすぐアカネのそばに吹いた。
「ハイドの匂い…」
その時だった死んだ様な顔に命が戻ってきた。
アカネの周りの熱が上がりケインは熱を下げようとしていた。
「アカネ〜ハイドはいない!気のせいだ!」
「ハイドの匂い…私が間違うはずがない…」
ケインは火傷しない距離まで離れて止まった。
自分のモノになっていると思ってたアカネがずっと遠く触れてもいないことに今気づいた。
ケインはそこで失恋を知った。でも悔いはなかった。
ケインはアカネが見えなくなるまで見送った。