「ところでキミの名前は?どっから来たの?」
マモルは聞いた。
「アタシの名はミユキ。あっちの方から来たの」
とミユキは、海の向こうを指差した。
マモルは、興味深そうに目をパチクリさせながら、
「へぇー。面白い子だね」
と言った。
「じゃあ、マモルは…どっから来たの?」
ミユキが聞いた。
「あっちから」
とマモルは太陽の方角を指差した。
――アハハハハ。
二人は共に笑った。
やがて開店前の時間となり、ミユキは風呂屋を出て、マモルは元の仕事についた。
――この先に、マーケットがあるんだ。良かったら行ってみな。俺も一段落ついたら、顔出すから。
マモルにそう教えられて、ミユキはマーケットまで足を延ばした。
そのマーケットには、魚だけではなく、野菜や果物、洋服や雑貨など、さまざまな物が売られていた。
「あー。あの花きれい」
ミユキは花屋のコーナーで、白くて美しい花を見つけた。
美しさの余り、その花を買おうとしたが、所持金が底をついてしまい、買えない。
ミユキが諦めようとしたその時、後ろからマモルがやって来て、お金を支払った。
花屋からお釣りとレシートを受け取ると、
「はい、どうぞ」
と言って、ミユキにその花を手渡した。