雪の華

龍王  2006-06-18投稿
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某大企業の娘
だから大事に育てられた

皆は私を〈お嬢様〉と呼び頭を下げる。
私自身はなにも偉くないのに
立場は皆より上で、親しい者はいなかった。

学校は悪影響を受けやすいと言う理由で、ずっと付き人が家庭教師をしてくれていた。
たまに耳に入る学校と言う存在が気になりつつも

私は行けなくても良いと思っていた。



「……い…様…朱斐様」
「えっ…」

白で統一した広々とした一室では、某大企業の娘が、某有名大学卒の付き人に勉強を教えてもらっていた。

容姿淡麗、清楚可憐な少女は今十二歳。

付き人は留学や多数の資格、特技を持ち、有名な大学卒業後、有望志され、大企業の娘の教育係を任されている。

「ご…ごめんなさい。黒峯」

教育係は端正な顔を微笑ませ、優しく接する。

「いいえ、疲れましたか?朱斐様…」

朱斐は首を振るわせる。

「ううん、大丈夫」
「分かりました、でも少し休憩しましょう」

朱斐は、教育係の優しい気の遣いに、安堵し暖かい気持ちになる。

「あ…あのね///黒峯」
「はい?」

朱斐は顔を赤らめ、小さな体で黒峯に抱きつく。
ギューとしがみつくように抱きつき、黒峯の服を握り締める。

「?朱斐様…」
「わたし…わたしね///黒峯の事が…好き///」
「えっ…」
「好きなの…だから…あの///ずっと…私の傍にい…」

黒峯は、朱斐がまだ言いかける途中で、朱斐の肩を軽く押し離す。

「すみません…朱斐様」

黒峯が、頭を下げる。

「わたしの…事…嫌いだった?」
「……」
「黒峯」
「──……朱斐様…私はあなたを妹のようにしか見れません。朱斐様は十二歳、私は二十八歳ですから…」
「……今…じゃなくても…わたしが大人になったら…」

黒峯は首を振ると、顔をしからめ辛そうにしながら言う。

「──……申し訳ありません。…気持ちは…ありがたいのですが…」

大の大人で大好きな人に頭を下げさせてしまったショックと、未来でも好きになってはくれないと言う絶望。

私は十二歳で失恋をしました。

とても大好きだった
いつも傍にいてくれた大切な人…

私はフラレた絶望を抱え、でもその人を黒峯を数年経ってもずっと今だに愛し続けていました…

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