がやがやと騒がしいほど活気ある港町キジル。
あちこちで元気な店の主人たちの声が響いていた。
「すごい…。
本当に活気ある街です…」あちこち見ながら雪は驚いたように言う。
「だろ?ここは世界一の港町たよ。」
ラウフは誇らしげに言った。
世界一に相応しい港町は今日も多くの人で賑わっている。
ガチャリ。
「ま、てきとーにくつろいでくれ。」
ここはキジルのラウフ宅兼情報屋。
「ガランとしたお宅ですこと。」
「若い男の部屋だからな。その辺は勘弁してくれや。」
ラウフが笑いながらポストを開けると中からは大量の手紙が滝のように落ちてきた。
「ウンウン。うちの下っぱ共は優秀だ。」
嬉しそうに手紙をかき集めるラウフの横でランスォールがそれを見下ろした。
「…なんじゃこりゃ。」
「最近の情報。
大体は用済みだけどな。」幾つかの手紙を除いてほとんどは適当に目を通してゴミ箱へと投げ捨てられた。「さてと、じゃあ本題に入るとしますか。」
手紙を読み終えたラウフがボフ、と音をたてソファーに腰を下ろし、ランスォールの目をじっと見た。