そこにはリリーがかかれていた。最初は同名の人かと思ったが顔をかいた絵を見て確信した。はなればなれになってから何年も経っていたが紛れも無くリリーの顔だった。
「リリー?おお美人だな。でも炭鉱では働けないな。力もなさそうだし特技は絵描きだってよ」
ヒューズは言った。
そんな!あのリリーが[売り物屋]に売られてる?将来画家になるって言ったじゃないか!
ハルは驚愕した。驚きと失望感が交差する。しかしそこでふとハルは閃いた。
リリーが[売り物屋]に売られたのならそれを俺が買えばいい。
「ヒューズ。このNo.26リリーはいくらなんだい」
「えっ?ちょっと待ってくれ」
ヒューズは紙をめくり値段の項目を見た。No.26を探す。
「あった。No.26はーー」それはこの小さな炭鉱でいくら働いても到底払えない額だった。もともと[売り物屋]の商品は高い。
「そんな…」
ハルの考えはそううまくはいかなかった。
「おい。本当にこのリリーっていう人を買う気なのか。そんなに気に入ったのかい?」
ヒューズは心配そうに言った。
「まあ…な」
リリーを助けるんだ
助けるんだ。
ハルは決心していた。
「すまんヒューズ。金を貸してくれ」
ハルは土下座した。どうしても金が必要だった。
「…わかった。そこまで言うなら貸すよ」
ヒューズは少し呆れた様子でハルにお金を貸した。その後もハルはいたる人達に頭を下げた。
同僚のバンク、友達のラリー、大工のシーベルト、肉屋のアイク、花屋のメアリ…
でも足りなかった。
ハルは困り果てていた。早くしないとリリーが誰かに買われてしまう。ある時ハルの事を聞いた誰かが皮肉混じりに言った。
「シルバードラゴンの涙でも探すしかないんじゃないの?」