ハーフムーン (23)

 2008-11-17投稿
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「あ…ありがと」
ミユキはお礼を言った。

「さっきの風呂代のお返しさ。営業時間外だったのに、払ってくれたしな」
マモルはそう答えた。

ミユキは嬉しそうに白い花束を抱きかかえると、優しく香るその花の匂いを、いつまでも嗅いでいた。

「ところで、ミユキはこれからどうするの?」
マモルが聞いた。

「ううん。何も決めてない」

「じゃ、泊まる場所は?」

「それも全然…アタシ、今朝この町に来たばかりだから」
ミユキは言った。

「それじゃ、俺のアパートで良かったら泊まってけよ。狭くて汚い部屋だけどな」

マモルがそう言うと、ミユキは
「ホントにいいの?そうして貰えると、助かるな」
と言った。

「もちろんさ。それに、二人で一緒に風呂に入った仲だしな」
マモルが笑いながら言うと、ミユキは顔を赤らめた。

「まだ少し休憩時間あっから、今のうち今晩のメニュー考えよっか?ミユキは何が食べたい?」

「ぇと…そうだなぁ…あ、鍋が食べたいかも知れない」

「オシ!それじゃあ、今晩は鍋で決まりだ。美味しい食材を一緒に探そうぜ」

「うん!」
ミユキは屈託のない笑顔を見せながら、マモルと並んで歩いた。



……そして、少し歩いた通りの一角に、問題の場所はあった。

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