「…」
パク…。
「…どうだ?」
…モグモグ…。
…ゴクン…。
「…」
「…あの…」
「…固い…」
「固い?」
彼女はそう言った後こう続けた。
「…おにぎりは…強すぎず…弱すぎずで…握る」
「…へ?」
「この力で握る事により…口に含んだ瞬間に一粒一粒が口の中でバラバラに広がり…例えるならば、まるでお寿司のシャリの部分を口に含んだかのようなお米本来の甘さが引き出され……」
「タンマ」
「…?」
「何で、おにぎりの感想の話からおにぎりの美味しい作り方講座まで話がでかくなってんだよ。俺が聞いてんのはこのおにぎりは美味いのか不味いのかって事だよ」
「…固い」
「いや、だから…」
「貴方は…もっと軽く握るべき…」
「…じゃあ食わなくていいです…」
「お腹空いてる…」
「だったら文句言うなー!!」
「お腹空いても…おにぎりには煩い…」
「贅沢言うなぁ!!」
あぁ、もう何なんだこの娘はよぉ!!
先刻まで殺気や怒気出しまくりだった癖に食べた瞬間から相手の料理にダメ出しばっかりしやがって!!
お前はあれか!?
『貴様の料理には…』って一言から相手を追い詰めるあの料理評論家なのか!?
続