有紀は目を覚ました。
どれくらい意識を失っていたのかは分からない。
《もしかして夢だったの?》
携帯を見ると5、6件の着信があった。
有紀は留守電を再生した
《……警察署の加藤ですが……大丈夫ですか?..
峰崎和彦さんの件で報告がありますので署までご足労願いませんでしょうか……》
《………勿論、峰崎さんの、え〜.いっ.い.ご..ご遺体をご確認されてからで結構ですので………》
他のメッセージも同じような内容であった。
和彦が死んだことは紛れも無い事実のようだ。
しかしまだ有紀は夢か幻であって欲しいと願っていた。
《私!絶対に信じませんから..
認めるもんですか!》
【山藤病院内廊下】
カッカッ…カッカッカッカッ……
病院内に響く有紀の靴音
【霊安室前】
霊安室前に設けられたベンチに男が一人腰掛けている。
男を横目に霊安室の扉のドアノブに手を掛ける。
開けるのをためらう有紀。
《..和彦さん...》ガ..チャ..
静かにドアを開けた。