エリザベスドール?(9)

ぐうりんぼ  2008-11-18投稿
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「ずっと、エリザベスに憑依してたのだろう?」

「ええ、そうよ」

 ジーナ、初めて質問に答えた。

「そして…、ルーク・ハリーと言う青年を愛したのだな?」

「彼は、私の人形を大事にしてくれた。だから私…彼に感謝したの」

「その感謝の気持ちが…、段々と愛する気持ちに変わっていった」

「彼って、とても素敵だったから」

 やはり…

 アースルの思っていた通りだった。

 人形が動くキッカケとなったのは…

 ジーナ自身のルークへの強い思いによるものと、確信強く恋心を抱くようになったからだと想像していたからだ。

 アースルは質問した。

「あの男に対するお前の気持ちは…、今も変わらないのかな?」

「変わらない。今でも私、ルークを愛している」

 今でもジーナは、ルークへの思いが強かった。

 それそれで、悪い事ではないが…

「だからと言って、何の関係もない人間を殺してもイイって理由には、ならないだろう。
 ルーク・ハリーはお前のせいで、今でも辛い思いをしているんだ」

「…」

 ジーナは何も言えないようだ。

 セディが口を挟む。

「お前のやった事は、神の裁きを受けるに等しい行為だよ。分かっているのかい?」

「どんな裁きでも受ける覚悟はあるわ」

 まるで悟り切ったような態度。

 だがそれは…

 アースルにとっては、納得のゆくものではない言い方である。

「忘れろ、何もかも。
 あの男の事も、エリザベスの事も全てをだ。
 お前はもう、この世界に踏みとどまる事は出来ない」

 ジーナ、しばらく考えて…

「ルークの事だけは、忘れたくないの」

「だったら向こうで、あの男を見守ったらイイ」

「…」

「私の言う事を素直に聞くんだ」

「お父様…」

「死んだ母さん…
(妻サラー。5年前の屋敷の火災で死亡)
が、向こうで、お前を待っているだろう」

「お父様…」

「我が娘よ…

(目に涙をためながら)
 今度こそが、本当の別れだ」

 すると…

 セディは手に持っていた十字架をジーナの前に突き出した。

「迷える魂よ、神の元へ。天に召されよーッ!」

 光を放つ十字架。

 ジーナの体は黄金の光の粒子に包まれてゆく。



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