その場所は、マーケット中心部の広場を利用して作られた、特設会場だった。
そこには年寄りから主婦、家族連れまで、大勢の人々がテントの周りに群がっていた。
「何だろ?」
マモルが言った。
「何かの抽選会やってるみたいダヨ」
そう言ってミユキが見上げた先には、『大抽選会』の文字が踊っていた。
「何が当たるのかな?」
マモルが群集をかき分け、前に進むと、そこには次のように書かれていた。
―マーケット大周年祭!―\r
年に一度の大抽選会実施中!期間中1000円ごとのお買い物につき1回抽選が出来ます!豪華賞品プレゼント!空くじなし!
…と派手な宣伝文句が並んでいた。
続けてマモルは、賞品の内容を確認した。
1等 高級外車
2等 高級ブランド時計
3等 最新液晶テレビ
4等 ポケットティッシュ
「えらい極端だな…」
マモルはそう思った。
すると抽選会場のスタッフの一人が、マモルに対して話し掛けた。
「ハイハイそこのお兄ちゃん!1000円以上のレシートで、抽選できるよ当てちゃうよ!クルマに時計にテレビにティッシュ!豪華賞品なんでも当たるよ!寄ってらっしゃい見てらっしゃい!」
男の軽妙な口上につられ、マモルはポケットのレシートを探した。