$思い出のあいつ$
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《もう!!放してよ》
バンッ…!!!
一瞬、周りの視点はスクランブル交差点中央に集中。
『わぁお!痛そぉ〜…』
「街中で派手にやるよね〜」
『私が男なら耐えられない!』
「確かに!」
さっき叩かれた男の人、可哀想(+_+)
でも羨ましいなぁ!あんなに思い切り気持ちぶつけられて…。
『あっ!』
「え…!?」
『美沙(みさ)、今羨ましいとか思ったでしょ!?』
「綾(あや)、な…なんでよ??」
『颯斗(はやと)思い出した?』
「うん…。」
『あいつと出会わなければ、あんたの間違った恋愛観、変わってただろうね!』
動揺している私をチラ見しながらケラケラ笑う綾。
綾には適わない。
なんでもお見通しなのだ。
「それ…よく言われる。」
私はそう返すのが精一杯だった。
『でもさ、颯斗って本当に変わった男だったね〜!』
さっきから話題の中心になってる男・颯斗。
こいつはマジ憎い男だ。
“恋は嘘のかたまり"
そんな言葉がお似合いの奴。
『美沙、な〜にブツブツ言ってんの?』
綾はカフェの扉を空けたまま私を待っていた。
「ごめんごめん。」
慌てて綾の後を入る。