泣き叫ぶ幼子。
耳に響く慟哭。
私は。
動くことも考えることもできずに。
ただそこに座っていた。
――忘れられない彼女の悲鳴。
引き裂かれ、押し退けられて。
ボロボロに傷ついて。
それでも立っていられたのは。
まだそこに揺るぎない信念があったから。
醜くてもとにかく生きてた。
その一番大事にしてきた思いまで折られたら。
一体誰が耐えられるというのだろう。
私の、せいか……。
見捨てたから。
そうしないと私の精神がもたないと思った。
私は「私」を守るために。
「彼女」という犠牲を払った。
ねぇごめんね。
ごめんね。
ごめんね……。
傷つけるつもりはなかったんだ。
月のように白いその顔を伝う涙を。
見たいと思ったことなんて一度もなかったんだ……。
だけどあなたは。
きっと私を恨むんだろうね。
いつまでもいつまでも避け続けて。
私への憎しみを膨らませて。
そうすることで生き甲斐を感じて。
生きていくんだろうね。
どうしてこんなことになっちゃったのかな。
何がいけなかったんだろう。
どこからが「間違い」なんだろう。
神様。
間違った所からやり直しすることができたなら。
私があの子を傷つけることはなかったんでしょうか。
泣かせることもなかったんでしょうか……。