複数の警察官が僕の周りを一瞬にして囲んだ。
パトカーの中からは無線で僕の服装や人相、その他あらゆる情報が聞こえてくる。
警察官に名前と生年月日を聞かれ、パトカーまで連れていかれた。
僕が何も抵抗しなかったから乱暴はされなかった。
警察署までのパトカーの中。
僕は後部座席の真ん中。
両サイドに警察官。
頭が真っ白になってきた。
そうだ。
僕は大学生なんだ。
年齢は20歳になったばかり。
今頃友人達は学校に。
でも僕は殺人犯。
本当に殺してしまったんだよな?
まさか俺がそんなことをするなんて。
警察署に着くとすぐに取り調べ室へ。
ドラマで見たのと同じ感じだ。
普通の部屋との違いは、窓に鉄格子と金網がしてある。
僕はあまりのショックのせいか、殺した相手のことや動機、事件の流れなどをうまく思い出せなかった。
あれ?
そういえば僕の名前って何だっけ?
さっき聞かれたとき何て答えたんだ?
ショックのあまり記憶喪失になってしまったのかもしれない。
警察は意外と普通に対応してくれる。
もっとドラマみたいに怒鳴られたりするのだと思ってた。
「君の名前は、有島健二だね?」
と警察官が聞いてきた。
(つづく)