「…な、なんだよ。」
あまりにもラウフがじっと見つめてくるのでランスォールは照れたようにそう言った。
「いや、お前さ、早く教会行きたくて仕方ないんだろ?」
「な……っ」
「やっぱ図星か。」
ランスォールは黙ってしまった。
「行けよ。
なに、丁度情報収集がこれからなんだ。それまでブラついてきな。」
ランスォールは教会に行くというのでシーラと雪はキジルの街を堪能することにした。
「うわぁ…。
すごいです!」
「うん。私もこの町をちゃんと見るのは初めて。」
そう言いながらシーラはふと少し前のキジルを思い出していた。
父親の手下たちに追われてやって来た街。
そこで助けてくれたのがランスォールとラウフだった。
「食料や防具も買っちゃおうか。
あ、あとアクセも。」
片目瞑ってみせると雪はまた嬉しそうにはい、と元気よく返事した。
真っ赤な林檎が美味しそうで両手に一杯抱えた二人は噴水広場で買ったばかりのアクセを見せあっていた。シーラは長い髪を纏める為のバレッタ、雪は新しい桜の髪飾り。
「あ、ランスがあそこにいるし、行こうか。」
「林檎、持ってもらいましょう。」
丘の上に小さく教会ガ見える。