「おいレックス、話聞いてねぇだろ?」俺は考えごとをしていてまったく話を聞いていなかった。 「あぁ、わりぃ考えごとしてた」 俺はそっけなくそう応えた。 「もしかしてお前また街の外に出たいとか考えてたんじゃねぇの?」 さっきから話かけてくるこいつは幼なじみのハウィーいつもこいつとつるんでる。 「俺は死ぬまでに一度でいいから『空』を見てみたいんだよ」 俺達が住んでいるこの街は地下にある。今から約100年前にあることがきっかけで地上にあった都市は地下へと追いやられた、地下にまるごと一つの国がおさまっている。100年前に起こったことはよく分からないが何かが原因で突然変異した生物が大量発生しその生物に地上を奪われた。とか、大国どうしの戦争から自国を守るために地下に逃げたとも聞いている。 「お前いつまでガキみたいなこと言ってんだよ、もう俺達16なんだしよ」ハウィーはバカにしたように言った。 「一応俺の夢なんだし別にいいだろ?」 俺はそう言ってハウィーの家を出ようとした。 「今日もバックランドのじいさんのとこに行くのか?」 「うん、街の外のことまだいろいろ聞きたいしな」 俺はハウィーの家を出てそのじいさんの家に向かった。 バックランドのじいさん、みんながそう呼んでいるその老人は唯一この街で地上を知る人間だ。