私を嫌ってる人がいる。
男の子だ。
別に直接『嫌い』って
言われたわけでもないし、
友達からそんな話を
聞いたわけでもない。
ただ、彼は私と
目を合わせようとしない。
でも、私は別段
そんなことを気にするような
性格ではない。
ただ、『彼は私が嫌い』
それだけのこと。
あるとき、
彼が急に倒れた。
軽い貧血だった。
私は保険委員だったから、
彼を保健室に連れていった。
その途中、彼が私に
『今度お前テニスの試合があるんだろ、部活の。俺…見に行ってもいい?』
私はびっくりした。
彼は私のことが嫌いでは
なかったのだろうか。
よくわからなかったけど、
断る理由もなかったから、
『いいよ。』
って、返事をした。
そしたら、
彼は嬉しそうに、
『ありがとう。』
と言った。
───不思議な気分。
それから少したった頃。
部活の休憩に
水を飲もうと思って、
私は校庭の隅の方にある
水道に行った。
そこにはちょうど
彼もいた。
彼が私に
話しかけてきた。