彼『なぁ。』
私『なんですか。』
彼『なんで敬語なの?』
私『あなただけって訳じゃありませんよ。』
彼『そうじゃなくて、なんつーか…みんなと距離おいてるみたいだなぁ、って──。』
私『別にそういうわけじゃありません。なんとなくです。』
彼『そっか…。』
少しの沈黙があり、
私はなんとなくたえられなくて、
私から彼に話しかけた。
私『…私は、』
彼『……?』
私『あなたが私にこうして話しかけてくれるのが嬉しいです。前は顔も合わせてくれなかったですし…。』
彼は驚いた顔をした。
それから一言、
『好き。』
そう言って、
私の唇を
彼の唇が
ふさいだ。
私は一瞬の出来事に
びっくりして、
その場に立ち尽くしてしまった。
彼はばつがわるそうな
顔をして、
その場から
去っていった。
次の日、
廊下で彼とすれ違った。
私は顔を合わせなかった。
いや、
合わせられなかった…。
気まずいというのもあるが、
それとは違う気持ち…。
(あぁ…そっか……。私は、以前の彼と同じことをしている。)
それから思った。
私、多分彼のこと…
好き。