バイトの帰り道。いつもと同じ道なのに…なんだか空気が違った。
私は思い切って大堀にきりだした。
「大堀って好きな人いるでしょ?」
「なんだよ、急に」
大堀は私を見ない。
「なんとなく」
きっと答えてくれないと思った。だけど意外にも…
「あぁ…いるょ」
遠くを見るように切なくそう言った。
きっと私じゃなぃ…そう確信して私は更に
「今日の彼女…」
大堀の顔色が変わった。
気付きたくない変化…
「可愛いくて優しそうでお似合いだったね」
大堀はまた一瞬寂しそうな顔をして笑った。
この瞬間、失恋決定…
私の二度目の想いは打ち明けることなく現実を知ったのだった。
「どんな人?」
「えっ?」
「大堀の好きな人」
私は自分の傷口に塩を塗っている思いだった。
叶わぬならいっそ…
「不器用でまっすぐ」
本当に大事そうに言う大堀に胸が痛む。
「はるは?」
「えっ?」
「好きな人いるんだろ?」
「あぁ…」
大堀は気付いていない。
「私の好きな人は、優しくて…頑張り屋かな」
「ふぅ〜ん…」
「何よ?」
私は精一杯の笑顔で演じきった。ここでバレたら誰もハッピーじゃない。
「叶うといいな」
そう言った大堀の顔が切なくて私は泣かない様に上を向いた。