「そう言えば、さっきのレシートがあったハズ…あ、あった!」
マモルは、先ほど買った花束のレシートを見つけると、それを男に見せた。
「ハイハイこれで1回ね!抽選できるよ回せるよ!この抽選券を持ったまま、あっちの方から並んでね!」
そう言って男は、マモルに抽選券を手渡した。
「どうでもいいけど…すっげぇ列だな。この町、こんな人いたっけ?やっぱ並ぶの止めようかな」
マモルが見つめた先には、Uターンを繰り返しながら、延べ100mにも渡る行列が出来ていた。
「なぁ。どうする?」
マモルがミユキに聞いた。
「せっかくなんだから、並ぼーよぉ。だって、外車とか当たっちゃうんだよぉ。こんなの、なかなか買えないよ」
ミユキはいかにも女の子らしい、堅実な言葉を口にした。
マモルは納得し、二人は列についた。
並んでいる間、抽選の様子を二人は見つめた。
例の男が叫んでいる。
「ハイハイ頑張って〜頑張って〜ガラガラと〜ガラガラと〜回して〜回して〜あ!残念!…いや、オメデトウ!4等大当たり〜!!」
ハイ、と言って男は、一人の主婦にポケットティッシュを手渡していた。
その後もマモルは観察していたが、みんな手にしているのはポケットティッシュばかりだった。